導入事例:工学院大学

工学院大学

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グリッドコンピューティング・システム構築事例

高信頼グリッドコンピューティング・ソリューション

グリッドコンピューティングにさらに業務用の高信頼のしくみをプラス。
今あるPCをそのまま使って、実用的でしかも信頼性の高いグリッドコンピューティングシステムを手軽に実現

大日本印刷が開発したグリッドソリューションを工学院大学と共同で実証検証しました。処理分散・収集サーバにストラタスの無停止型サーバを採用し、従来の処理を飛躍的に高速に、手軽に、ローコストで、しかも企業向けの信頼性をそなえて新しいグリッドシステムが実現しました。

業務の課題 簡単にPCでグリッドコンピューティングが実現

都心の新宿駅からわずか徒歩5分、地上29階建。新宿の高層ビル群の中でも最高の利便性を持つ工学院大学は、明治20年創立の歴史を持つだけでなく、絶えず変革へのチャレンジを続け、日本を支えるグローバルエンジニアを送り出してきた。その16階に今多くの企業が注目するグリッドコンピューティング・システムを構築したCPDセンター(技術者能力開発センター)がある。

文部科学省の助成により産学連携で社会に必要な技術者を養成する為に開設された施設で、45台のPCが完備されている。システム構築の際、ソフトウェアツールには、大日本印刷の『AD-POWERs®』を導入。

2003年9月、協同実証研究が始まった。

『AD-POWERs』は使用されていないPCを自動検出し、アプリケーション処理を割り振ることで、処理能力を飛躍的に高速化させる。CPDセンターにすでにあったPCを有効活用。夜間や休日はもちろん、使用されていないPCを自動的に探して処理を分散し集計する。

「教室内のPCは、授業時間以外は使用されておらず、グリッドの研究環境として最適だったのです。」同大学工学博士小西先生は言う。

「大日本印刷の『AD-POWERs』とftサーバの組み合わせでPCベースのグリッド高信頼システムが安価に、容易に構築できるのです。」

「従来、グリッドコンピューティングシステムは、バイオや気象分析など、スーパーコンピュータを使った大規模な計算用に開発されてきましたが、この原理をもっと身近なPCで実現させたのが『AD-POWERs』なのです。」

開発元である大日本印刷・技術開発センター中沢氏は『AD-POWERs』のコンセプトをこう語る。AD-POWERsは「ソフトウエア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2003」(財団法人ソフトウエア情報センタ)を受賞した。

特徴は、各PCに特別に開発したスクリーンセーバをインストールするだけで環境が構築できること。PCが使用されていない状態、すなわちスクリーンセーバが起動しているときだけ、サーバからの指示で処理を行う。したがって、お昼休みや夜間、あるいはその時使用されていないPCの余剰リソースだけで柔軟にグリッドを構成できる。各PCの使用者に負担をかける事もない。必要に応じて計算パワーとメモリー空間を拡張でき、しかもセットアップは数分で終了する。プログラミングだけでなく、Excelを使用して処理を分散させ、しかも65,536行という上限を分散によりなくす事もできる。Windows環境で動作するので、多くの企業に既にあるシステム資産を活用して、極めて安価に、しかも簡単に構築することができるのである。

ネットワークセグメント1つに1ライセンス必要。同一セグメント内のPC254台まで接続可能。ネットワークライセンス:209,790円(税込み)のみ

PC台数に応じてパフォーマンスアップするAD-POWERs

プラットフォームの課題 マスターサーバの課題

一台で実行した場合
AD-POWERsを用いた場合

マスターサーバに『AD-POWERs』をインストールする時間わずか5分足らず。PCにスクリーンセーバをインストールすれば、グリッドコンピューティングシステムの完成。構築が容易なシステムだが、課題はあった。

「グリッドシステムは、複数のPCで仮想的な高性能コンピュータを構成するため、各PCの処理結果を集計するマスターサーバは24時間止まらない、絶対的な信頼性が必要でした。」中沢氏は語る。

PCは止まっても自動的に他のPCに負荷を分散できるが、マスターサーバが停止してしまうと、せっかくグリッドで演算した結果がすべて無駄になってしまう。期待した時間に結果が出ていない事態は避けたい。

ストラタスの無停止型サーバ『ftServer®』(ftサーバ)はその要求に応えるデザインだった。内部ハードウェアが二重化されている『ftServer』では片系のハードウェアに障害が発生しても、残った片側が稼動し続けるので、無停止稼動が実現する。「企業環境を考えるとWindowsで落ちない、という事も大きな利点でした。」

そして、もう一つのメリットは高速化。サーバですべてのグリッド結果を集計しているので、ここにはDISKとネットワークが高速なマシンが適している。実際、それまで手元のPCをサーバに流用していた時に比べ、2倍以上の高速となった。「思わぬ効果でした」と小西先生は言う。

センター内の『ftServer®5240』システムは昨年8月末の稼動以来、無停止でグリッドコンピューティングを続けている。

ストラタスのソリューション グリッドコンピューティングの様々な事例

グリッドコンピューティングはまだ研究段階、あるいは複雑な専用プログラムが必要、そして用途が非常に限定されている、そういった誤解がある。

工学院大学と大日本印刷は、昨年10月に東京大学、三重大学と共に「分散コンピューティング応用研究ワーキンググループ」を発足し、年4回の研究事例の発表により共同で実証を行ってきた。例えば、(1)印刷品質検査でグリッド環境を使用。画像を分割して比較、「抜け、汚れ」等の品質を調査し、通常システムで15分の処理をPC3台で5分に短縮。(2)数値演算ソフト「MATLAB®」(マトラボ)をグリッドコンピューティングで動作させ、複数車両の最小の経路を求める演算処理で、通常システムで3日をグリッド環境で0.5日と8台で6倍の速度となった。

(3)表計算ソフトEXCELを使って金融、証券会社の顧客データを、シュミレーションやデータ並べ替えなど複数のパラメータをExcel処理する。こうした時間のかかる演算処理をグリッドコンピューティングにより高速化し、実用化する。今まで16分かかっていたものが40秒となった(32台使用)。更にExcelの扱えるデータ数上限をなくす。分割して複数のPCで処理させることにより、従来不可能であった大量データ処理が可能となる。

「現在ネットワークにはギガビットを使用していますが、PCの台数を増やした場合の最適化を研究しています。また、実ビジネスではセキュリティ対策も重要で、さらに企業における利用での鍵となるのは、やはり信頼性だと思います。不測のシステム停止がない、データが無くならない、グリッドで計算した結果の集計が止まらない。これは企業で利用する時には必須になってきます。」小西先生は『ftServer』についてこう評する。工学院大学の研究によって、グリッドコンピューティングの概念が、企業の情報システムのあり方に大きな変革をもたらす可能性をもってきた。実証実験と応用を通じてPCグリッドコンピューティングの実用性を証明し、その莫大なデータの信頼性をストラタスの無停止型サーバが支えている。

データフロー概念図

Interviewee
工学院大学工学博士
小西 克巳
大日本印刷株式会社
生産総合研究所
エキスパート
中沢 亨
Profile
  • 社名
    工学院大学
  • 本社
    東京都新宿区西新宿1-24-2
  • 創業・創立
    1887(明治20)年
  • 事業内容

    第1部、機械系、化学系、電気系、建築系第2部、機械システムデザイン、化学応用デザイン、電気電子情報、工学、建築学

  • 関係者数
    約6,500人
  • URL
Profile
  • 社名
    大日本印刷株式会社
  • 本社
    東京都新宿区谷加賀町1-1-1
  • 創業・創立
    1876(明治9)年
  • 資本金
    1,144億6,476万円(2004年3月31日現在)
  • 事業内容

    書籍・週刊誌・カタログ・包装・建材・カード・エレクトロニクス関連製品の製造及び各種ソリューション提供

  • 従業員数
    34,514名(グループ連結)
  • URL
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